CH 02 / PLAY 05 汎用業務編 2026.06.11 公開予定

メールトリアージを、
仕組みに。

朝、受信箱を開いて 10分が消える 現象を、Gmail MCP で「いま返す/今週中/スキップ/後回し」の4つに自動仕分けに変えた。
110行・¥640/月の実装日誌。

この記事で得られるもの
  • 受信箱で 「あの返信、急いだ方がいいやつだっけ」 を毎朝考えなくて済む構造
  • Gmail MCP を Claude Code に繋ぐ12行の設定
  • NOW/TODO/SKIP/LATER の4分類ルールを言語化する方法
  • 外部接続で API トークンを浪費した失敗 2件
実コード行数 110 = 3ファイル ・ 既存ファイルへの追記中心
実運用コスト 640円/月 Play 03の¥320 + /mail-triage 分
失敗ログ 2 全受信処理・境界曖昧
前提

本記事は Play 04 の MCP導入が手元で動いている前提です。/daily-schedule でカレンダーが取れている状態。新たに Gmail MCP を足します。

第1章朝、受信箱を開いて10分が消える

朝の予定整理が /daily-schedule で3秒になった次の週、不思議なことが起きました。節約したはずの15分が、どこかで消えている

追ってみたら、メールでした。受信箱を開いて、新着40件を上から見て、「これは今返す」「これは後で」「これは見なくていい」を仕分ける。1通あたり15秒だとしても、40件で10分。それが /daily-schedule の3秒で浮いた時間を、丸ごと食っていました。

もっと正確に言うと、判断疲れ の問題でした。9時から「これは急ぐべきか?」を40回連続でやると、その後の Play 03 草稿(10時開始)で文章が出てこない。脳がもう使えていない。

仕分け作業そのものを 仕組み にすれば、判断を「ルールに渡す」ことで脳を空けられる、と気づきました。

第2章4つに分けるルールを、自分で書く

仕組み化する前に、まず 自分が普段どう仕分けているか を言語化しないといけません。なんとなくの判断は、AIにも渡せない。

朝の受信箱を3日眺めて、次の4分類に落ちました。

NOW
今日のうちに返す。顧客からの直接の質問、期限がその日のもの、上長からの問い合わせ。
TODO
今週中に返す。商談調整、進行中案件の確認、見積もり依頼、複数行の質問。
LATER
来週以降でいい。情報共有、相手から急ぎでないと書かれているもの、長期検討の話。

これを knowledge/triage-rules.md として書き起こしました。30行。AI に「自分の判断基準」を渡す材料です。

~/my-playbook/knowledge/triage-rules.md 30 行 ・ 抜粋
# メール仕分けルール

## NOW(今日中に返す)
- From が顧客個別メールアドレス(社名@ドメイン)
- 件名に「至急」「本日」「今日中」が含まれる
- 期限が今日中と本文に書かれている
- 直属上長からの個別宛て質問

## TODO(今週中に返す)
- 商談調整、進行中案件の確認、見積もり依頼
- 本文に質問形が2つ以上含まれる
- 直接 To で宛てられているが、期限が今日でない

## LATER(来週以降)
- 「お時間あるときに」「急ぎではないですが」を含む
- 長期検討の打診(3ヶ月以上先の話)

## SKIP(返さない)
- ニュースレター、配信専用アドレス、no-reply
- 社内CCで、宛先(To)に自分が入っていない
- 宣伝・営業アプローチ(first contact)

分類の正解はないので、各人の判断基準を そのまま 書き出すのがコツでした。きれいに整理しようとすると、漏れが出ます。「自分が普段やっていること」を文章化するだけ。

第3章Gmail MCP を、12行で繋ぐ

Play 04 で組んだ mcp.json に、Gmail を追加します。Calendar の時とほぼ同じ手順。

Google Cloud Console で:

~/.config/claude-code/mcp.json 追加 12 行 ・ 抜粋
{
  "mcpServers": {
    "gcal": { /* Play 04 で設定済み */ },
    "gmail": {
      "command": "mcp-server-gmail",
      "env": {
        "GMAIL_CLIENT_ID": "<Play 04 と同じ>",
        "GMAIL_CLIENT_SECRET": "<Play 04 と同じ>",
        "GMAIL_SCOPES": "gmail.readonly gmail.modify"
      }
    }
  }
}

なぜ gmail.modify も入れたか ─ ラベル(後述)を付けるために必要です。送信権限(gmail.send)は入れていません。「読む・ラベルを付ける」ところまでに絞っています。送信はまだ手の仕事。

第4章/mail-triage コマンドを書く

本体のカスタムコマンドはこれ。50行。

~/my-playbook/.claude/commands/mail-triage.md 50 行 ・ 抜粋
# /mail-triage

朝の受信箱を NOW / TODO / LATER / SKIP の4つに仕分けします。

## 動き
1. Gmail MCP で 過去24時間の未読受信を取得
   (古いメールは対象外。これは 失敗01 で学んだ)
2. knowledge/triage-rules.md を読み、4分類の基準を把握
3. 各メールを基準に照らして判定
4. 結果に Gmail ラベルを付ける:
   - NOW → "🔥now"
   - TODO → "todo-week"
   - LATER → "later"
   - SKIP → "skip"
5. 標準出力に NOW と TODO のメール一覧を要約表示

## 出力フォーマット
NOW (3件)
  ├ A社・佐藤さん「明日の打ち合わせ件」 → 期限: 今日中
  ├ B社「至急: 見積もり修正依頼」      → 期限: 今日中
  └ 直属上長「来週の予算確認」          → 期限: 今日中

TODO (7件)
  ├ C社「進行案件の中間確認」          → 今週中
  ├ ...

## 判定で迷ったとき
- 60% 以上の確信があれば、その分類に置く
- 50/50 の場合は TODO に倒す(NOW より厳しい)
- 個人情報(住所、銀行)が本文にある → 必ず NOW

memory/style.md の末尾には、返信時に使う 「自分らしい返信文の最初の3行」を18行追加しました。これは後の Play 06 「自分の文体を、覚えさせる」 で本格化します。

合計: 30 (rules) + 50 (command) + 12 (mcp config) + 18 (style.md追記) = 110行。これが「実コード行数」の中身です。

第5章¥640/月 の内訳

Play 03 で API 直叩きに切り替えた ¥320/月 に、/mail-triage 分が乗ります。

/daily-schedule/weekly-review(Play 03)= 約 ¥320
/mail-triage 平日5日 × 4週 = 20回 ・ 約 ¥280
・ Gmail API ・ ¥0(無料枠で収まる)
・ 試行錯誤・再実行 ・ 約 ¥40

合計 ¥640/月。1日あたりに換算すると約 ¥21。10分の判断疲れと交換すると、十分割に合います。

第6章2回踏んだ、失敗

失敗 01

初回実行で、受信箱の全メール(半年分)を処理対象にした。

最初のコマンド定義には、対象期間の指定を入れ忘れていました。/mail-triage を初めて打った瞬間、Claude が 「8,200件のメールを処理開始」 と返してきた。あわてて Ctrl+C で止めましたが、その時点で API 使用量が ¥420 飛んでいました。1コマンドで月予算超過。

コマンド定義に 「過去24時間の未読受信のみ」を入れて再実行。所要 8秒、API 使用量 ¥8、で動きました。外部MCPは「処理範囲を最初に絞る」。これはトークン消費が見える前に決めるべき設計でした。

失敗 02

TODO と SKIP の境界が曖昧で、社内CCの確認依頼が SKIP に落ちた。

運用1週間目の金曜、直属上長から「先週のCC、確認した?」と聞かれた。受信箱のラベルを見たら "skip"。CCで届いた「来週の予算配分について」というメールが SKIP 扱いになっていた。

原因は triage-rules.md の 「社内CCで、宛先(To)に自分が入っていない」→ SKIP というルール。これは大半の社内CCには当てはまるが、上長からの「確認しておいて」 CC は例外。ルールに「From が直属上長の場合は TODO」を1行足したら、その後は同じ漏れは起きていません。

例外を1個ずつ書き足す」というのが、トリアージルールの育て方でした。最初から完璧なルールは書けない。週1回 /weekly-review で誤判定を確認して、ルールを足していく。

第7章動き出した、朝の受信箱

月曜の朝、/daily-schedule の次に /mail-triage。3〜5秒で、NOW と TODO のメール一覧が出ます。

受信箱を開く必要はありません。NOW の3件だけ集中して処理して、TODO は午後にまとめて触る。LATER と SKIP は 視野から消える

計測すると、朝の受信箱処理時間は 10分 → 平均3分。7分の節約以上に、判断疲れがなくなったのが効果でした。10時から始まる Play 草稿の集中力が、以前より明らかに上がっています。

受信箱は 1日2回(朝・夕方)の /mail-triage 起動になりました。それ以外の時間に開かないルールにしています。これは仕組みではなく、自分への運用ルールです。

創刊号 10本の旅

いま、5合目に到達。

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CH 02 / PLAY 06 ・ 2026.06.18 公開予定

自分の文体を、覚えさせる。

Play 05 で増えた「自分の返信案」を、もう一段精度を上げる Play。memory/style.md を本気の文体設計書にして、AIの出力を「自分の言葉」に揃える。

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