そもそも、AI業務実装とは何か。
ChatGPT と Claude、Claude Code は何が違うのか。AI業務実装は「プロンプトの一発回答」ではなく、業務プロセスそのものをAIに置き換える営み。創刊号の最初に、全体像を置きます。
ChatGPTとClaude、何が違う?
本誌の読者の多くは、ChatGPT を1度は使ったことがあるはずです。OpenAI が提供する、Webブラウザ上で会話するあのAIです。仕事で使ったことがある方も、たくさんいるでしょう。
では、Claude(クロード)はどうでしょうか。「名前は聞いたことがある」「何が違うかは知らない」という方が多い印象です。本誌は Claude を中心に解説するので、最初に違いを整理しておきます。
| 項目 | ChatGPT | Claude |
|---|---|---|
| 提供会社 | OpenAI(米国) | Anthropic(米国) |
| 起源 | GPT-3.5から会話AIとして広まった | OpenAI元メンバーが「より安全なAI」を掲げて2021年設立 |
| 得意なこと | 幅広い汎用タスク・画像生成連携 | 長文の読解・コーディング・推論の透明性 |
| 日本での認知 | ほぼ全員が知っている | エンジニア層中心に拡大中 |
| 本誌の主役 | ── | こちらを使います |
「なぜ Claude を選ぶのか」と聞かれたら、本誌の答えはひとつです。業務に組み込む実装ツールが、現時点で最も整っているから。後述する Claude Code というツールが、業務自動化の「設計図と工具」を一通り揃えてくれます。
Claude Code は「ターミナルで動くClaude」
Claude Code(クロード・コード)は、Anthropic が提供する コマンドライン版のClaude です。Webブラウザの会話画面ではなく、Macのターミナル(黒い画面)から起動して使います。
「黒い画面」と聞いて身構えた方、安心してください。コードを書く必要はありません。本誌のターゲットはコードを書かないビジネス職です。Claude Code の役割は、コードを書くことではなく、「あなたの仕事を覚えてくれる文脈付きのAI」 を手元に置くことです。
ブラウザ版の Claude(claude.ai)と何が違うのか。ざっくり3点です。
- 仕事の文脈を覚える:あなたの文体、よく扱うプロジェクト、優先順位を1つのファイルに書いておけば、Claude Code は毎回それを読んで作業を始めます。ブラウザ版は、毎回ゼロから始まります。
- ファイルを直接読み書きする:あなたのMac上のファイル(議事録、提案書、設計書など)を直接読んで作業します。ブラウザ版は、毎回コピペで渡す必要があります。
- カスタムコマンドを作れる:「
/daily-schedule」と打つだけで、毎朝の工程表を出すような独自コマンドを作れます。ブラウザ版にはない機能です。
この3点が、業務実装にとっては決定的に重要です。あなたの仕事を覚えてくれる、ファイルを直接動かせる、起動を1コマンドに圧縮できる。これが揃って、初めて「業務に組み込まれた」状態になります。
AI業務実装の定義 ── プロンプトではなく仕組み
では、本誌が掲げる「AI業務実装」とは、具体的に何を指すのか。最初に定義を置きます。
AI業務実装とは、プロンプトの一発回答ではなく、メモリ・知識ベース・サブエージェント・カスタムコマンドの4つの部品を組み合わせて、業務プロセスそのものをAIに置き換えていく営みである。
長いので、4つの部品を1つずつ説明します。すべて、Play 02 以降で実装方法を解説しますが、まずは名前だけ覚えてください。
① メモリ(Memory)
あなたの仕事の文脈を、ファイルに書いて永続化する仕組み。Claude Code が作業を始める前に必ず読みます。「私はマーケターで、語尾は『だ・である』調」のような情報を1度書けば、二度と説明する必要がありません。
② 知識ベース(Knowledge Base)
過去の議事録・メール・提案書を、住所付きで保存する仕組み。AI が必要なときに必要な分だけ取り出せる構造を作ります。「あの案件の議事録、どこだっけ」を解消します。
③ サブエージェント(Subagents)
1人のAIに「全部やって」と言わない。調査担当、校正担当、設計担当のように役割を切り出して、それぞれに専門性を持たせます。あなたが部下に仕事を割り振るのと同じ発想です。
④ カスタムコマンド(Custom Commands)
動きの起点を1行のコマンドに圧縮します。「/daily-schedule」と打つだけで、今日のカレンダーを読み込み、優先度を取得し、15分単位の工程表を返す。再現性は、起点に宿ります。
──この4つは、どれか1つだけでは動きません。メモリだけあっても、取り出す仕組みがなければ意味がない。サブエージェントだけ作っても、起点となるコマンドがなければ呼び出せない。4つが噛み合って、はじめて業務が動きます。
このサイトで学ぶこと(現在のカリキュラム)
本誌は、Claude Code を触ったことがない状態から、毎朝のスケジュール作成・Google Calendar 連携・Gmail のメール仕分けまでを地続きで進められる構成になっています。現在、公開されているのは 準備ガイド 2本+プレイブック 6本 です。
公開中 ・ 準備ガイド 2本+プレイブック 6本
毎週1本ペースで追加していきます。今後は、自分の文体を memory に覚えさせる Play、議事録から翌日タスクを抽出する Play、契約書レビューの自動化、「30万円のAIスクール」検証など、専門業務と検証編に踏み込んでいきます。
必要なのは月額20ドルの Claude Pro 契約と、1本あたり12〜18分の読書時間だけ。RSSフィードを購読すれば、新しいPlay の公開を逃しません(メールアドレス登録は不要です)。
では、次の Play で「なぜプロンプトでは足りないか」を、もう少し詳しく見ていきましょう。